ホーム » レポート » 長く住める家

レポート

2017.01.23
長く住める家

外装リニューアルの足場架

ここ数年、築30年前後のお客様からのリフォームのご相談をいただくケースが多くなりました。御縁が途絶えなかったことになにより、感謝いたします。具体的な内容は、外装や水回りのリニューアルであったり、バリアフリー的な改築が多いの ですが、その中で、30年という期間での輸入住宅の経年劣化を垣間見ることができます。まず、肝心な構造については、建物の強度、耐久性に関わるような劣化は、ほとんど見受け られません。というのは、構造になんらかの不具合があった場合、数年から10年以内に顕著な 兆候が現れるので、30年の時点では、解決されている場合がほとんどだからです。 また、新築時にこだわった構造材や、断熱材の種類などでも、耐久性に関し、その差異を 感じることはありません。しかし、それは、こだわりが無意味という意味ではなく、あくまで30年と いう期間では差異が生じないという意味です。 次に外装のリニューアルについてです。屋根に関していうと、屋根材そのものや、要所 の役物で使用されている板金の劣化の状況で、塗装ではなく、貼り替えをする場合があります。一度でも塗装をしていれば、早急に貼り替えの必要があるほどの劣化がみられることは少ない ですが、10数年後に必要になるなら、早めにやっておこうと決断される方がいらっしゃいます。当時の屋根材はアスベストを使用しているので、処分費が割増でかかります。外壁については、 貼り替えはまれです。それと、やはり新築時に懸念することですが、野地板や外壁構造の 壁内結露ですが、深刻なものは見受けられません。 水回りのリニューアルについては、やはり、浴室の寒さ対策やバリアフリーから、在来工法の 浴室をシステムバスに更新される方が多いです。その際に、構造体への浸水が露見することが ありますが、部分的な処置で済むことが多いです。キッチンやおトイレ、洗面台などは、見栄えや、 最新機能の採用のためにリニューアルされます。 これは、輸入住宅固有のメンテナンスなのですが、デザイン性や気密性・断熱性に優れた木製 のペアグラスサッシが、一部腐食したり、開閉部の故障をすることがございます。

窓の開閉部分の不具合 築30年というと、住人の方は60代で、数百万円のリフォームは、これで最後にされたいというご要望をされる方が多いです。そういう方は、経済的な裏付けもあり、生活空間への関心も高く、比較的お元気な方が多いです。しかし、60代から5年、10年と経つと、移動が面倒になったり、眼が見えづらくなったりと、住む方の状況に応じた住まいのあり方が必要になってきます。どなたにも、どのご家族にも訪れる問題です。  輸入住宅に携わり30年近くたち、建物の耐久性は、30年では充分な余裕を残していて、 50年以上の使用に充分耐えうるものと実感できるようになりました。そして、わたしたちの寿命も 長くなりました。 30年住む家を建てようとするのと、50年住む家を建てようとするのは、視野が違うかも しれません。また、同じ方が、同じ家に住む住み続けるのにも、工夫がいるのだと思います。長く住める家について考えると、家は人の暮らしのための器なのだと、改めて思います。

カテゴリー:話題

Page Top