レポート
スペイン バルセロナに旅行し、アントニ・ガウディ(1852-1926)の作品、サグラダファミリア教会、グエル公園、カサ・ミラ、カサ・バドリョを見て来た。
あの有名ないつ完成するか分からないサグラダファミリアは、本当にコンクリートの埃り舞上がる空気の悪い工事中現場であった。
東側はほぼ完成し、キリスト誕生から民への説教迄の物語を描いた写実的で精巧な彫刻芸術の世界。
西側はガウディ亡き後の作品で、最後の晩餐から処刑、昇天迄の現代的モダンな1刃彫の様なタッチの彫刻であり、全く趣きの異なる面であった。私は東面の方が好きだ。(写真1.2)
この教会の地下聖堂にガウディは眠っていると言う。
そして楽しみにしていた1906年頃の作品カサ・バドリョ。バルセロナのメインストリート、グラシア大通りに面して建つこの建物。今迄写真で見て想像していたものより小さい。(写真3.4)
間口が狭く中央吹抜けを持ち奥へ長い建物である。17ユーロを払って入館。
1階ホールより2階へ上がる階段の曲線、曲面の斬新さにいきなり目を奪われる。実寸巾では、1.2m巾位の階段が1.8m巾位に感じる。階段の踏み面の端部から、手摺りの立ち上りが曲面で外側へ広がっているからだ。そして、所々巾の違う手摺りの波が心地よい。
建築屋の習性で、詳細に興味を持ち観察してみて、実際工事を担当した職人の苦労が見える納まりであった。(写真5.6)
小生の作文表現能力が乏しいので写真を御覧頂きたい。
2階の食堂・居間が、グラシア大通りの歩道へせり出した曲面の出床から立上る外壁に大きな曲線でデザインされ、窓がはめ込まれている。この部屋、いやこの建物の内部は直線、大きな平面部がほとんど見当たらない。その為なのか実際より広く見える(写真7.8)
そして、自然換気口を木の建具工事でデザインして作っているではないか。(写真9.10)
しばし、100年前の情景を想像したたずむ。メインストリートとの街路樹の下を行く市民の動きを観察しながら、当時は新車でしょうか?アンティークカーのヘッドライトが走る窓辺。
なんと贅沢なことか!
光が屈折して床にさざ波の波紋を出す
壁は10cm位の隙間を作り採光と通気を考慮
自由で既成概念にとらわれない発想。
自由なデザインを各部で見て私は大変刺激された。
図面に出来ない曲線が多々有り、ガウディが工事職人にイメージを伝え、気に入った部位は残し、気に入らない所はやり直す作業が続いたという。まさしく芸術品を作っている姿勢であろう。
クライアントも100%ガウディを信頼し任せねば出来ぬ作業であろう。
曲線、曲面の持つ豊かさ、心地良さを十分満喫させてもらった見学であった。
ドンナハウスの上品で重厚で心地良い空間造りにヒントを得た感も有り、どこかでトライしてみたい。
(I.T記)