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レポート

2011.06.23
重厚な家(2008年9月)

先日、東京上野にある東京都美術館へオランダ人画家フェルメールの絵画展を見に行って来ました。

光が当てられた人物、静物を平面なキャンパスの上に何如に表現するかの課題を追求した画家の技術力の方に興味がわきました。 「画家のアトリエ」「手紙を書く女」「リュートを調弦する女」「ヴァージナルの前に座る女」 「ワイングラスを持つ娘」等、画面の構成は左側の窓より入り込む柔らかい日差しを浴びた人物を含む情景の展示がほとんどでした。

私の興味は、カーテンやテーブルクロス、女性の衣服のヒダ、素材感又その布地の裏側に有るだろう隠された質感、更には被写体その物、者の本質迄連想させる描写「技術」への興味と画家への興味です。インターネットでもいろいろいと取上げられていますので、御参考までに・・・

それから数日後の朝、私は目を覚ました時、ダラシなく中途半端に閉じたカーテンより薄暗い寝室へ差込む強烈な1筋の朝日に映し出されたカーテンの山と谷の柔らかい波、ひだの美しさ、光の通り道の美しさを目にして自分ならこの情景をどの様な色、どの様に筆で何如にグラデーションを付けて描写するのだろうと考え創体意欲をかき立てられました。理屈では書けるはずだと思いながら、筆を持ってば早々と自分の技術力の無さに貫き当り、すぐ諦めることは判りきっています。不遜ながらフェルメールの高度な観察力、表現の技術力を改めて感じました。

こんな前置きをしましたのは、半年程前、実績のドンナハウスへ営業中のお客様を御案内差し上げた折の話を理解して頂きたくて・・・

お客様とは、数年前他社輸入住宅を建てられたお母様と今回新築を御検討中のお嬢様です。 御案内のお住まいにお入りのになるや否やお母様が「何なの?この重厚感」と御自分のお住まいとの違いに驚かれたのです。 ドンナハウスが常々気に懸け努力している設計上の細かい納まり具合、そしてその案を 施工まで徹底させる姿勢を評価頂いたと、大変嬉しく思いました。 同じ材料を使い同じ工法であっても、見栄えの違い差は出るものです。

美しい納まり、仕上がりを心掛け設計から施工迄、努力追求すれば差は必ず出るものです。 前にも書いた事が有りますが、私達は素材の厚みを見せる様、また感じて頂ける様な工夫を常にしています。光の影、陰陽が出るようにする工夫です。「重厚感」は物の「質感の表現された結果」です。

建物は、手に取って重さを感じる事は不可能ですので、視覚的に感じた光の影から質感を感じ取るのだと考えます。 新建材を使い無駄を省いた平面、直線、単純なウェーブ等のお住まいと違う本物の質感を求める方に、もっともっと喜んで頂けるお住まいを造っていきたいなぁ~と思います。

光の芸術家フェルメールを引合いに出し、彼には申し訳ありませんが、でも約400年も前の方ですのできっと許してくれる事でしょう。

(I.T共記)

カテゴリー:話題

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